以下は僕がお手伝い先の職場で、スタッフが見るライングループに掲載した内容です。 (一部ブログ用に改編してあります)
―プロの現場は「整理整頓」から生まれる―
今日は少し厳しめの話をします。
正直、今まであまり触れてこなかったのですが、
そろそろ言っておくべき時期かと思います。
12月の繁忙期を前に、あえて伝えます。
洗い場の乱れは、技術の不足
洗い場の乱れは、サービスの乱れにつながる
私が見てきた中で、技量の高いウェイター陣が運営するお店ほど、
どんなに下げ物が多くても、必ず洗い場は整理整頓されています。
なぜか。
理由は大きく二つあります。
① 下げ物の際に「計算」をしている
上級のスタッフは、下げ物をするときから計算しています。
洗い場でどう置けば効率よく流せるか、どうすれば作業が滞らないか。
それを考えて動いているのです。
つまり、洗い場が整っている=動きが設計されているスタッフが多いということ。
② 洗い場の乱れが「運営全体」に影響することを知っているから
もう一つの理由は、
洗い場が崩れると、全体のリズムが壊れることを知っているからです。
同じ形状のお皿が同じ場所に積み重ねられることなく、
最も使用頻度の高い取り皿があふれ、
置き場所が無くなり始めると、
そこに持って行った時の時間が増えて、
料理提供のテンポまで狂っていきます。
だからこそ、技術のあるスタッフほど、
洗い場への“配慮”を怠りません。
危険なのは「取り皿」
特に積み上げると危険なのが取り皿。
この皿は小さい分、崩れやすい。
だからこそ、崩れても問題のない位置に置く設計が必要です。
私は、手前に置かれたものを見つけたら、
すぐに奥の壁側へ整理します。
一見地味ですが、
これが「安全」と「効率」を守る基本動作です。

同じものを同じ場所に
同じ形状のお皿を同じ場所に積み重ねることは、
もちろん洗い場のスペースを確保することが一番の理由です。
が、付随してもう一つ理由があります。
それは
洗った後のお皿の片付けがスムーズになる
ことも理由の一つです。
皆さんが整理整頓して洗い場に置き続けることによって、
効率よく洗い物が終わり、ひいては片付ける所までの時間が短縮されるという事です。
洗い場を見れば、チームのレベルがわかる
知らない人も多いかもしれませんが、
私はピーク時でも、できる限り洗い場を整えるようにしています。
理由は前述の通り。
乱れは後々に響くからです。
同じものが違う場所に散乱していたり、
違う形状のお皿が重ねたまま放置されていたり、
洗い場に置く場所がないからと、違う場所に食器が置かれていたり。
その積み重ねが、オペレーション全体のミスにつながります。
整理整頓は「見た目の綺麗さ」ではなく、技術の証拠です。
下げ物の技術を磨くための2つのコツ
洗い場の整頓は「意識」で変わりますが、
下げ物(バッシング)の技術を高めるには練習が必要です。
ポイントは3つ。
-
最初に持つ皿を考える
→ 重さ・形状・順番を意識して構成する。 -
自分の限界を知る
→ 無理をせず、確実に安全に運ぶ。 - 残飯をまとめる
→ワンアクションで廃棄できる。
この3つが計算してできると、自然と洗い場も整い始めます。
ウェイターの仕事は「逆算」
実は、ウェイターという職種は、
全ての作業が逆算で成り立っています。
料理の提供タイミングも、バッシングの順番も、
「この後どう動くか」を予測して行動する。
下げ物を“逆算”して行うことは、
ウェイターとしての技術を磨く、最高のトレーニングなのです。
最後に伝えたいこと
繁忙期はどうしても余裕を失いがちです。
そんな時こそ、洗い場を見てください。
-
同じものは同じ場所に。整理整頓出来ているか?
-
自分が置いた事で無駄な動きが生まれることはないか?
-
自分の行動で仲間が困らないか?
それを見て動ける人が、本当に技術力を持つ、サービスができる人です。
洗い場の乱れは、技術の乱れ。
そして、洗い場の整いは、チームの整い。
12月を迎える前に、
この言葉を胸に、現場を整えていきましょう。
