整理整頓の定義
私が最初に「整理整頓の定義」を教わったのが、
一番最初に働いた飲食店の店長からでした。
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要らないものを捨てる
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場所を決める
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使ったら元に戻す
一番最初の「要らないものを捨てる」
が、私にとっては目から鱗でした。
私は飲食店の新規開業を、
全て責任者として、合計7店舗経験しています。
飲食店のオープニングは毎回痩せます。
それほど激務です。
お客様入っていないのに。と思われるかもしれませんが、
飲食店のオペレーションを一から作り、周知徹底となると、なかなかカロリーが高いです。
既存の店舗なら、現場での教育で徐々に慣れさせる事が出来るのも、
新規オープンではそういう訳にもいきません。
期限がある中で、全てのスタッフを一定のレベルまで揃えなくてはならないからです。
そして責任者である私が、概ね独りで教育に当たります。
皆が定時で退社した後に、翌日の研修の準備や、
オペレーションやシステムを組みあげるなど諸々の業務が待っています。
僕は泊まるのだけは嫌だったので必ず終電で帰っていましたが、
睡眠時間は毎回3時間未満でした。
チェーン店の新規オープンが諸々パッケージでマニュアルはもとより、
厨房のレイアウトまで全て決められているのは、すぐに運営を軌道に乗せたい背景があるからです。
経験の蓄積こそが、大手の強みです。
最初の三店舗くらいまでは嬉々として
「よーし!一から作るぞ!」
と、私も意気込んだものですが、
段々と、またかー。と思う様になりました。笑
必要な情報のみ残す
整理整頓とは前述の通り、
先ずは「捨てる」ところから始まります。
それは捨てる「物」が無いであろう、
お店の新規オープンでもそうです。
言い方を変えれば「必要な情報のみ残す」です。
同じ会社の新規店舗「あるある」ですが、
既存店のクオリティを新規店にも求められます。
それは、オーナーやお客様からの期待値どちらもです。
全てのスタッフが既存店からの移籍なら可能です。
一度だけ移転での新規オープンがありましたが、その時はスムーズでした。
物の場所さえ間違わず無意識に取れるなら、
スタッフ同士は阿吽の呼吸で、次の手がお互いに見えているからです。
お互いのレベルをまだ知らない者同士かつ、
物の場所もおぼつかないなら、それはムリなのです。
なので、オープンに漕ぎ着けられる様に、
責任者として「捨てるところ」を決めます。
そう言うとイメージ悪いでしょうけど、
オープン時に100点なんてもっての外。
本音を言うと80点すら怪しい。
なので僕は60点を目指していました。
すなわち、
- お客様を極力待たせる事なく物がちゃんと出て、
- スタッフが次に何をやればいいのか分かっていて、
- 物の場所を右往左往して探すことなく把握していて、
- 手持ち無沙汰でぼーっと立っていることのない状況
のみです。
情報の整理整頓こそ、一番最初に行う
オープン日までそれぞれがなすべき事を明確にし、
それぞれのポジションにおけるタスクを覚えさせます。
前述の手持ち無沙汰は、リーダーが事前に教える、
情報の整理整頓ができていないから起こります。
なので、プラスアルファは一切行わずに、
- 物の場所の周知と使ったら元に戻す躾
- オペレーションに必要なタスクの整理
- 持ち場のロールプレイの徹底
を、ひたすら行います。
夢と希望に満ち溢れた新規スタッフは、
日々繰り返される同じことにウンザリしてる様子もありますが、
いざ始まってみると、予想外の事が次々に起こります。
余裕を見せている人ほど、次に何をやるべきか分からなくなって、
オープン当日にテンパっている事が多いのも事実です。
商品知識や諸々の技術は、一応形だけ教えますが、
全てが新しい事をするにあたっては、
人はマルチタスクにはなれません。
中にはこなす、経験者や要領のいい人もいますが、
それはボーナスだと思っています。
シングルタスクで、必要なことのみフォーカスさせる。
これが一番大事です。
しかし、60点を目指して当日60点満点でも、
当然赤点なので、お客様の満足度は低いのですから、
お客様が不満から二度と来ないレベルにならない様に配慮します。
すなわち、
責任者の役割は、お客様のフォローのみに徹する。
ことです。
営業中に見えた課題は、落ち着いた後か翌日に持ち越します。
オープン当日~落ち着くまでの責任者の役割
情報の取捨選択は、経験値で培われました。
私が前述のように何を捨てるか?が分かり始めたのは、
オープン当日に何度も失敗しているからですね。
私が、新規オープンはもう勘弁。
と言うのはそこにあって。
「60点で上出来」と気持ちを切り替えるのも、
実はなかなかしんどいものです。
店は立ち上がってから育てていくものだと思います。
そして終わりがありません。
最初から100点を目指さずとも、
ずっと100点を目指し続ける日々が待っています。
ですのでオープン日の営業では、もう一度繰り返しますが、
二度と来ない。という結果だけがダメで、
何か物足りない。は、責任者の対応で何とかなります。
オープン当日は、中を任せる人(セカンド)がいることが前提ですが、
責任者が最も行うべきはお見送りである。
と思っています。
私は全客お見送りに行き(ガス抜きの意味合いもあって)
ご意見を聞きながらお詫びしてペコペコしまくっていました。
華々しいオープン日の営業の裏側は、
そんな泥臭さから成り立っています。