クレーム対応 飲食店運営のヒント

飲食店やサービス業での【クレーム対応の本質】とは?

クレーム対応時の中身が相手によって変わるのは悪いことか?

私が初めて飲食店の店長になったのは、28歳の頃。
人・物・金のマネージメントで、諸々の問題に直面し、
日々悩みながら学んでいた時のこと。

当時、220席の店舗の店長をしていました。
店舗の規模が大きくなればなるほど、問題も起こりやすくなります。

クレーム対応することもたくさんありました。

クレーム対応の内容は変えないべきか?

かれこれ20年以上前のことなので、内容について詳しく思い出せないのですが、
あるクレームが起こった時に、店舗として対応する内容に関して一人のスタッフから、

なぜ同じクレームでも対応の内容が変わるのですか?
と、全体ミーティングで質問をされました。

要は、同様の問題が起きたら、顧客対応はマニュアル化されて、
こういった対応をお店として行う。という明確な基準が必要なのでは?
という疑問でした。

私の回答は即答で、
対応はライブで、一つの答えだと納得してもらえないから
でした。

しかしその質問者は、解せない顔のまま。
解せないのは、不公平感があると感じているからでした。

謝罪

 

相手の温度感ありきの対応

まずクレーム対応は何よりも、相手の温度感があります。

例えばグラスを倒して衣服を汚してしまったとしましょう。
もし、衣服がお気に入りのものだったりすると、その怒りは大きくなります。
同じミスでも、相手の状況や人柄によって怒りは変わります。

何より、物に感情を入れ込んでいる場合には、
話しがとても大きくなることもあります。

後のことですが、下げ物の際にウーロン茶のグラスをスタッフのミスで倒してしまい、
お客様お気に入りのカバンを汚してしまった時に、
どれだけ事後対応・謝罪をしても許してもらえなかったことがあります。

その背景には、それがデザイナーさんの一点物の革製品であったこと、
そして、それをとても大事にしていたことなどがありました。

 

人の沸点と持続の時間はそれぞれ

私は飲食業を通じて、色々な場面で
人間の本質を垣間見るシーンに出くわしてきました。

直前までニコニコしていて感じが良い人も、
一旦着火すればそんなに変わるのか!
と驚かされた事もそれなりにあって。

なので、当時僕が言った「対応はライブ」
の判断は間違っていなかったと思っています。

通り一辺倒の対応では、火に油を注いで更に問題が大きくなるばかりです。

 

満足は無理。納得してもらうしかない。

飲食店は、そもそも「満足」をしに来る場所であり、
クレームが起こった時点で既に満足はどう対応しても得れません。

クレームを貰った時点で得るべきゴールは「納得」であるため、
その納得を得るためには、相手を注意深く観察し、
言葉に出来ない部分まで深掘りし、察しなければいけないと思っています。

その納得を得るために何よりも大事な
気持ちに寄り添う」ことが、
通り一辺倒の対応が決まっていると、制限がかかってしまうことが問題です。

その範疇を超えると、自分で対応できなくなり、
即決で行えることも行えなくなり、
ひいてはお客様をモヤモヤしたまま帰すことになる。

これが一番危ないのです。

納得しないまま帰った場合、後からジワジワと湧き出る怒りの感情が、どう転ぶか分かりません。
ほとんど・・・いや、絶対と言っていいほど、良いことは無いのです。
それは、周りに喧伝されるネガティブな噂やネット上のレビューも含めて。

 

状況的に怒りを出せない場合もある

例えばその時のシチュエーションが接待だったら。
ゲストホストの立場でホスト側が怒りをあらわにできず、
我慢して帰ることもあります。
そんなケースでは、翌日クレームの電話を貰ったこともありました。

付き合いたてのカップルで、彼氏の手前怒ることが出来ず、
翌日電話で、とてもヒステリックにクレームを言われたこともあります。

相手の状況で怒りを吐き出せなかった際の、その増幅度たるや。
これは中々にハードルが高かったクレーム対応の一つです。

そんな時、普段店舗で対応しているよりも更に難易度が上がり、
実際私は、会社や自宅までお詫びに行ったこともありました。

怒り

 

結論、クレームへの対応力を養うために

答えは相手にある。

それが一番伝えたい内容で、
すなわち、相手によって対応内容が変わるのは必然であるという事です。

そのためには傾聴し、相手に寄り添い、気持ちを汲み取り、
時に相手が望む解決法の、上を行かなければいけない時があります。
最低でも、同じラインですね。

聞き、寄り添い、汲み取る。

それらを行えば、必然的に対応内容は変わってきます。
通り一辺倒のマニュアルでは、
相手の納得は引き出せないということです。

 

 

クレーマーを見分ける方法

最後に余談ですが。

クレーマーを見分ける方法は簡単です。
下げた頭を踏んでくる人。
これに尽きます。

少なくとも、傾聴して、寄り添おうとして、汲み取ろうという姿勢が不足していたり、伝わっていなければダメですが、
それらが客観的に見て精一杯できていると言えるなら、
そこから先は諦めていいと思っています。
相手は「納得」する気がないからです。

なぜなら、クレーム対応の本質的なゴールは、
その相手との繫がりを深くするためのものだからですね。

実際、前述のように自宅や会社までお詫びに行った際のお客様とは、私は今でも関係を続けられています。

そして、クレーマーの共通している要求は、
やはり「金品」が絡む内容です。
この場合、金品を支払わずに自力で解決することは難しいです。

第三者の介入を以て、事の収束に当たった方が良いです。
弁護士などに相談すべきだと思います。

ご参考になれば幸いです。

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