以前、飲み会にお誘い頂いたときのお話。
その際に、会場になった居酒屋。
僕は前回を知らなかったのですが、
どうやら以前の食事会は散々だったご様子でした。
混雑していたが故の食事のお待たせと、
基本的な部分で手が回らなかった所に敗因があった様子。
どうやら今回は、こちらのスタッフの方からの、
【もう一度チャンスを下さい!】
という心意気に感じての再来店
な、背景があったとのことでした。
そのお話を皆さんが集まる前に、
幹事の方からチラっと聞いた僕は、
自分の過去に照らし合わせて、
あぁ、自分にもそう言った事がしょっちゅうあったな~・・・
と懐かしくなったのですが、
と同時に、苦い思い出もたくさん思い出しました。
基本的なオペレーション
最初は僕たちが座っているテーブルだけだった店内が、どんどん席が埋まって行く。
時が進むに連れて、僕は不安を抱えつつあり、そして的中した。
それはこうです。
実はまだヒマな時間帯でも、僕達が呼ばなければ、
ドリンクのお代わりを聞く事が出来ない。
料理の間違いがある。
ずっとヒマな状態であればまだ何とかなった筈でも、
忙しくなってくれば当然もっと崩れて行くのは自明の理。
このお店は、残念ながら基本的なオペレーションが確立されていない。
改善のポイント
挽回しなければならない来店動機があるなら、
一番に行うべきなのは、お客様に「ストレス」を与えない事。
「すみません!」と、手を挙げられる、
この言葉・動作をされないようにするのが、
一つの目標となるべきであり、
その為にどうするか考えていなければならない。
役割分担
具体的には、このテーブルの責任を持つのは誰か?
が明確になっていなければならない。
人は忙しくなれば、自分のキャパシティを超えないように、
自然とお客様を目に入らないようにしたがる習性がある。
それを無くすのは「責任範囲の自覚を与える」ことだ。
このお店は、キッチンとホールの線引きだけで、
誰しもが明確な役割を持って動けていない。
自由に動き回って、誰もが自分の責任を自覚していない。
一度にできることを増やす
例えば一度テーブルに来たら、団体であればある程、
一度に出来る事をたくさんこなして行かなければ、全てが後手に回る。
それすらも教えられていないからだろう。後追いのサービスしか出来ない。
レベルを自覚し、準備する
自分たちのレベルが低いと自覚できていれば、
お待たせするのが避けられない、と考えることができる。
ならば、どうするか?の知恵を絞らなければいけない。
例えば、僕が店長なら、焼酎とか日本酒とか、
何かしらボトルでテーブルに置いておいて、
ドリンク間に合わなかったら、
すみません、今手が回っていなくて、すぐにお出しできないので、
これ勝手に飲んでください。
と、フリーで飲めるものを用意しておく。
また、お食事もそう。
居酒屋なら、お通しとか、おつまみになるような、
簡単なものの用意があるはず。
僕なら枝豆とかを用意しておいて、
同じ様に、これ摘まんでてください。
と、出て来なくなったタイミングでサッと出す。
どちらも、原価が高くなくて良いもので充分、
口封じになるし、気持ちは伝わる。
最悪、入店を止める
それでも手が回らないなら、やむを得ない。
今いるお客様を守るしかない。
僕なら、入店を止める。
来て頂いているお客様が、「二度と来なくなる」ことが一番ダメである。
これを避けるべきなら、以降のお客様をお断りするのも手である。
きちんと、再来店を促すクーポンを用意しておいて、
お断りしたお客様にお渡しする。
この判断を下すのは誰なのか?
そのお店の店長は、その権限があったのか。
それもよく分からない。
勢いだけの心意気
【もう一度チャンスを下さい!】
この心意気はとても良いのだが、
この言葉が勢いだけなら、お客様に大変失礼である。
そう言うからには、
必ず具体的な改善があって、徹底されていないと、
かえってお客様を裏切る事になる。
お客様の気持ちとすれば、
今回こそは皆が頑張ってくれるだろう。
という期待感と安心感を持って、ご来店頂ける。
前回からきっと、具体的な改善がなされていなかったのだろう。
このお店は結局同じ轍を踏んだ結果となったようだ。
そしてもっとダメだと思うのは・・・
今日挽回するべきことを皆が知っていたのか?
だった。
どう見ても、スタッフ全員が、
(このテーブルは気を付けるべきお客様だ!)
という意識を感じなかった。
共有していたようには感じなかった。
チャンスを頂いたなら
そもそも僕がご一緒したお客様は、
そのお店を応援しているからこそ不満を伝え、
チャンスを下さいの言葉に反応し、足を運んでいる。
一度お詫びして、もう一度チャンスを頂くというのは、
要はお客様の優しさや温かさに甘えるという事である。
であれば必ず、そのお客様の【想い】に応えなければならない。
僕自身店長として、違う内容だけれども、同じ轍を踏んだ事がある。
だからこそ、お客様に【甘えることの難しさ】を痛感している。
期待を裏切られた
この飲み会の幹事の方は、お帰りになられる際に、
「もう二度と来ません」と仰ったそうだが、
それを伝えられた責任者はどう感じたのだろう。
必要なのは、これを機に【成長すること】であり、
その為の【具体的な改善方法】であり、
それを行う為の、リーダーの【徹底力】である。
この悔しさを原動力に成長しなければ、この幹事さんが可哀想だ。
過去は戻らない
このお店の進化が、いつかこの幹事さんの耳に届き、
また来店してみたいと思われる様になることが、
一番の恩返しではないだろうか。

