オリエンテーションで必ず伝えること
私はこれまで数多くの新人スタッフのオリエンテーションを担当してきました。
その際、必ず伝えている話があります。
それは、
「飲食店が絶対に起こしてはいけないこと」
です。
新人スタッフへ質問すると、たいてい一つは正解が出ます。
それは「食中毒」。
しかし残り二つは、なかなか出てきません。
私が必ず伝えるのは、
- 食中毒
- 火事
- SNSトラブル
この三つです。
なぜなら、これらはすべて
営業ができなくなる可能性があるから
です。
営業が止まるということは、
お店の売上が止まる。
そして働く人たちの給与にも影響する。
だからこそ、全員で防がなければならない問題なのです。
火事は「起こさない」だけでは不十分
私自身、防火管理者の資格取得のために講習を受講したことがあります。
正直に言えば、
「休日を二日も使うのか…」
という気持ちで参加しました。
ところが受講後には、
「これは全員が受けた方がいい」
と思うほど価値のある内容でした。
その中でも最も印象に残ったのが、
防火管理の目的は、火災をゼロにすることではない
という考え方でした。
なぜ「被害を最小限に抑える」が重要なのか
講習で聞いて驚いたのは、
全国では毎年およそ6万件もの火災やボヤが発生しているという事実でした。
しかも火災原因の上位には、
- 放火
- 地震による二次災害
- 電気系統のトラブル
など、自分たちだけでは完全に防ぎきれないものも含まれています。
つまり、
どれだけ気を付けていても火災が起きる可能性はゼロにはならない。
だからこそ重要なのは、
火災発生後の初動対応
なのです。
訓練している店と、していない店
講師の方が何度も強調していたことがあります。
それは、
防災訓練をしている店舗と、
していない店舗では、
被害に明確な差が出る
ということでした。
- 初期消火。
- 避難誘導。
- 消防への通報。
これらが一分遅れるだけで被害は大きく変わります。
そして現場では、
「知っている」
だけでは意味がありません。
実際に動けるかどうかです。
飲食店は火災リスクが高い
講習で紹介された統計によると、
建物火災の中でも飲食店は非常に高い割合を占めています。
理由は明確です。
火を使う。
油を使う。
電気機器が多い。
長時間営業する。
つまり火災リスクが高い条件が揃っているのです。
実際、原因の上位には
- ガスコンロ
- 業務用コンロ
- たばこ
- 電気設備
など、飲食店にとって身近なものが並んでいました。
火災発生時に必要な3つの行動
もし火災が発生した場合、
やるべきことはシンプルです。
① 消防へ通報する
まずは通報。
初動が遅れるほど被害は拡大します。
② 初期消火を行う
消せる火を消す。
ただし無理はしない。
判断が重要です。
③ 避難誘導を行う
最優先は人命です。
お客様とスタッフの安全確保。
これが最も大切です。
役割分担を決めておく
火災時に最も危険なのは、
全員がパニックになることです。
だからこそ、
- 誰が通報するのか
- 誰が消火器を持つのか
- 誰が避難誘導するのか
を、事前に決めておく必要があります。
防災訓練の本当の意味は、
技術を学ぶことではありません。
混乱した時に動けるようにしておくことです。
火災は「点検」と「習慣」で防ぐ
もちろん予防も重要です。
しかし予防とは、
特別なことではありません。
- コンセント周りの確認
- たこ足配線の点検
- ガス機器の確認
- 可燃物の管理
- 閉店後の巡回
そうした小さな確認の積み重ねです。
そして人は必ず慣れます。
慣れるからこそ、
言い続ける。
確認し続ける。
記録し続ける。
これが大切なのです。
まとめ|防火管理とは「命を守る準備」
講習で元消防士の講師の方が言っていた言葉が、今でも忘れられません。
初期消火や防災の心得が無かった為に、 被害が拡大した。
火災報知機のベルの音を、 今迄の誤報でうるさいからと切ってなければ、
防火扉の所に物を置かなければ、
消防に早く通知していれば、
避難経路に物を置かなければ、
誰かが指揮を執って右か左か言っていれば。助け出したつもりの若い年頃の女性は、 それこそ眠る様に死んでいた。
そんな『もし』の積み重ねで被害は大きく変わるのだそうです。
飲食店における防火管理とは、
お店を守ることだけではありません。
お客様の命。
スタッフの命。
そして、一緒に働く仲間たちの生活を守ることです。
だから私は今でも、新人オリエンテーションで必ずこの話をしています。
火事は起こさないことが理想です。
しかし本当に大切なのは、
「万が一起きた時に、どう行動するかを準備しておくこと」
なのだと思います。
防火管理者講習
https://www.bouka-bousai.jp/hp/lec_info/guide_bouka.html
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