ワンウェイ・スリージョブ【1way,3job】の語源
行って、帰ってくるまでに、3つ仕事しましょう。
それがこの標語の語源です。
分かり易く言えば、【効率よく仕事をしましょう】
を、具体的な言葉にしたものです。
私が教わった場所
私がこの言葉を初めて耳にしたのは、
グローバルダイニング(以下GD)という会社に入ってからでした。
飲食業界でテーブル担当制を、もっとも早いうちから取り入れ、
その担当したセクションの回転率は、
個人のスキルによって高くなる背景もあり、
【ワンウェイ・スリージョブ】を、
どうスタッフに教育し、落とし込んでいくかは、
【売り上げに直結する】とても大事なことでした。
ワンウェイ・スリージョブが出来るようになる3つのポイント
私はGDで、ワンウェイ・スリージョブを会得するまでに、
自分なりに色々と試行錯誤して来たのですが、
まずは、【どう教えれば出来る様になるか?】
を最初にお伝えします。
1:意識を植え付ける
ワンウェイ・スリージョブとは、最初に意識です。
一つの作業をするとき(だいたいフードアップ)に歩き出したら、
3つ仕事してこなければならない
という感覚を持ってもらうことが、一つ目のポイントです。
この意識が出来ない人には、幾ら言っても出来るようになりません。
まずは意識を植え付けるための標語であり、
そして、その標語を具体的に実践させるのが次です。
意識出来る様にするために
意識の1丁目1番地、
最初に教わるのは、バッシングをメインに言います。
一番、教えられて、分かり易い作業ですね。
料理持って行って、帰ってくるとき何か下げて来て。
が、最初に必ず教える内容でした。
そこから、3ジョブの内容が膨らんでいきます。
それが次のステップ。
2:見る所を教える
2つ目に、【具体的に何を見るか?】です。
見る所をしっかり教わっていなければ、
何に注意すればいいのかが分からないからです。
見る所とは・・・
- 下げもの
- オーダーテイク(お飲み物の残量など)
- アフター管理(※下記)
- 必要なものが、ちゃんとあるか?(アイテムなど)
- お客様の動き
などを教えます。
※アフター管理とは
お客様から頂いたオーダーをキッチンに通すときに、
「アフター」と言われる注意書きを行うことによって、
すぐには作らず、こちらの声掛けで作り始めて下さい。
というルールを設けることです。
このルールのお陰で、どんどん料理が出てくることを防ぎ、
温かいものを温かいままお召し上がり頂ける様にするオペレーションです。
3:技術を教える
3つ目に、【技術】です。
ワンウェイ・スリージョブを行うに当たって、
技術が足りないというシーンに出くわすことが多いのですが、
その例をご紹介します。
たとえば・・・4名テーブルでフードアップ
ランチなどで4名テーブルに4つのオーダーを、
同時に持って行くことがあった場合、
独りで4つお皿を持てれば、一度で行くことが出来ます。
(おおむね)3つ迄しか持てない人が多いですが、
そうすると、フードを早く持って行かなければならないので、
ワンウェイ・ワンジョブで、すぐに残りの料理を取りに戻る――
という事が起こるのです。
この4つ持てる技術があれば、作業効率が上がる。
言わずもがななのですが、この技術を教えるのです。
トレイは必需品
お皿を4つ持つ技術に留まりませんが、
技術の中で最も大事なのはトレイの活用です。
GDの行動指針でも、【トレイを使え】という一文があり、
効率良く仕事をするのに欠かせない技術でした。
このトレイは、事故の元ともなることが多く、
慣れていない人は使いたがらない事も多いのですが、
トレイをどう持つか?
は、効率の良い運営のために、とても大事な要素です。
持ち方の基礎ができていないと、
いくら練習しても上手に持てるようになりません。
これはまた別の回でお伝えしようと思います。
具体的に教えるための3つの秘訣
僕が知る、ある店長は、インカム(トランシーバー)の活用をしていました。
スタッフが料理をもって歩き始めると、
料理を出して帰ってくる際にライブで
「●テーブルのドリンクお代わり聞いて」
や、
「●テーブル、ドリンク残り少ないからおススメしてみて」
と、トランシーバーで伝達するのです。
言われたスタッフは、(あ、ここ気付けていなかった)
という部分を補佐するのですね。
この効果は人によりますが、
(信頼関係が構築できていないと難しい)
とても具体的な指導方法だったと思います。
続いて私の教え方。
1:ゆっくり歩かせる
飲食店は、ゆっくり歩くことをあまり良しとしない風潮があるのですが、
私は違います。
ただし、何もせずにゆっくり歩くことはダメです。
しっかり【意味を持たせて】歩かせることが大事です。
それは、ゆっくり歩くことによって、
【周りを見させること】です。
見させる内容は、前述の「2:見る所を教える」の通りです。
早歩きは視界が狭まり、周りを見ることが出来ません。
慣れれば出来るようになるのですが、
最初は必ずゆっくり歩かせ、情報を処理させて、実行させる。
やがて熟練してくると、そのスピードが上がるのです。
2:向かうときに見ていくように教える
もう一つは、料理を持ってテーブルに向かうときに、
その向かう途中の情報を拾うように伝えていました。
帰りに初めて情報を拾うのではなく、
行きに拾った情報を帰りに処理してくる。
ということです。
そして、その導線上に含まれていないテーブルがあれば、
一通り回ってから帰って来なさい。
と教えていました。
わざわざ迂回させることによって、
- 忘れていたことに気付けたり、
- 次に打つ手をまとめられたり、
見直しをする機会を設けさせるのです。
まとめると、
【全体を細かく見渡す】ことを基本にさせるのです。
3:提案することが基本だと教える
不思議と、お客様から言われることを待つ、
手を挙げられるのを待つ人が多いのですが、
ウェイターの基本動作として「提案」があります。
呼ばれたから行くのではなく、
先に提案して、自分のセクションをコントロールする。
が正しいです。
呼ばれてから対応していると、全て後手に回ります。
「すみませ~ん」と呼ばれることを無くそう!
という目標を定めることも良いと思います。
呼ばれないためには、事前に察知するアンテナをもつこと、
こちらが提案していることが大事なのです。
コントロール出来ているウェイターのセクションでは、
「すみませ~ん」と呼ばれることが本当に少ないです。
まとめ
ワンウェイ・スリージョブの極意とは、
お客様にストレスなく、
自分もストレスなく、
円滑に運営できる事にあります。
【意識・見る所・技術】を教えて、
【ゆっくり歩く・全体を細かく見渡すクセ・提案が基本】
を徹底させることによって、
ワンウェイ・スリージョブの内容が良くなり、
効率が上がって、回転(売上)も上がる――
是非試してみて下さい。
~関連した記事~
運営方法にお悩みがある方は、実際の現場で私共がお手伝いさせて頂きます。
ご興味があれば、お話だけでも聞かせて下さい。
お問い合わせはこちらから