料理説明は本当に必要なのか?
飲食店で料理を提供するとき、料理説明は行っていますか?
「料理は美味しければいい」
そう考える方もいるかもしれません。
しかし私は25年以上レストランの現場に立ってきて、
料理説明は顧客満足を大きく左右する
と確信しています。
人は五感で料理を楽しむと言われます。
味覚。
嗅覚。
視覚。
触覚。
では聴覚はどうでしょうか。
私は、
人の言葉もまた、料理の味を作る
と思っています。
料理説明はプレゼンテーションである
料理説明とは単なる情報伝達ではありません。
これから体験する料理への期待値を高めるプレゼンテーションです。
そしてプレゼンが上手い人とそうでない人では、
同じ料理でも満足度が変わります。
私がスタッフ教育で大切にしているポイントは5つあります。
① 簡潔であること
料理は提供された瞬間から劣化していきます。
シェフは一秒でも早く食べて欲しい。
お客様も会話を中断している。
だから長々と説明する必要はありません。
まず大切なのは、
短く伝えること
です。
② 背景を理解する
短く話すためには、
実はその何倍もの知識が必要です。
食材の産地。
生産者の想い。
調理法。
なぜその組み合わせなのか。
それらを理解していなければ、
本当に伝えるべきことは見えてきません。
私はよく、
料理を一つの物語にしてみる
よう指導しています。
③ 捨てる情報を選ぶ
物語が作れたら次に行うことは、
「何を伝えるか」
ではありません。
何を捨てるか
です。
説明が長い人ほど、
伝えたいことが多すぎる傾向があります。
お客様に必要なのは全部ではありません。
一番伝えたいことだけを残します。
④ 「へー!」を作る
私が料理説明の良し悪しを判断する基準はシンプルです。
お客様から
「へー!」
が出るかどうか。
知らなかった。
面白い。
そんな小さな驚きが、
料理体験を深くします。
⑤ 「なるほど!」を作る
もう一つ大切なのが、
「なるほど!」
です。
例えば、
料理を楽しむためのヒントを伝えること。
または、
料理の背景に関する珍しいこと。
など、
これは単なる説明ではなく、
楽しみ方のガイドです。
実際にやってみる
以下は、私がお手伝いさせて頂いたお店の例です。
鮮魚の〇〇ソースです
こちらのお店のカルパッチョは、真鯛の産地として有名な〇〇産の真鯛を使用しています。
釣り上げた漁船は〇〇丸で、こちらの漁師さんの特徴は、釣った直後に船上で独自の神経締めを行い、
脳死状態の魚を酸素濃度の高い海水に入れることで、まだ動いている自身の心臓をポンプにして、自らで血抜きを行わさせます。そうすることによって、魚にストレスがかからず、魚の身が硬くなるのを防ぎ、旨味成分のもとであるATPの減少を防ぎ、生臭さを軽減できます。
帰港後すぐに店舗へ直送してもらっており、釣り上げた翌日にはお店へ届いています。
身の新鮮さ、食感を楽しんで欲しいので、魚に一切の下味をしていません。
ですので、下にある〇〇ソースと共にお楽しみ頂きたいと思います。こちらのソースは、〇〇をベースにして、〇〇や、〇〇を加えることによって、
五つの味を表現した味わい深いソースになっておりますので、よく絡めて頂くか、
スプーンで一緒にすくってお召し上がりくださいませ。
物語を作ると、全文はこのような形になりました。
これを、捨てる情報を選び、まとめたのが以下です。
鮮魚の〇〇ソースです。
本日の真鯛は〇〇産です。
船上で独自の神経締めを行い、帰港後すぐに直送頂き、翌日には店舗へ届いています。
(へー!)
新鮮な食感を楽しんで頂きたいので下味は付けておりません。
下にございます〇〇と〇〇のソースと一緒に、スプーンですくってお召し上がりくださいませ。
(なるほど!)
ゆっくり説明したとしても、長さにすると20~30秒。
その中に、
「へー!」
と
「なるほど!」
が入っています。
プレゼン上手とは
料理説明が上手な人とは、
たくさん話せる人ではありません。
お客様が料理を楽しむために、
何を伝え、
何を伝えないか。
それを選べる人です。
そしてそのためには、
料理の背景を深く理解している必要があります。
知識があるから自信が生まれる。
自信があるから言葉に説得力が宿る。
私はそれこそが、
料理説明の本質だと思っています。
料理を提供するだけではなく、
料理を楽しむ体験まで届ける。
そんなプレゼンテーションを、
ぜひ磨いてみてください。
料理説明は、単なる商品説明ではありません。
お店の価値観や生産者の想い、シェフの考え方をお客様へ届ける「言葉の設計」です。
DUEでは、スタッフ教育や料理説明の言語化、サービス基準の構築など、現場に合わせたサポートを行っています。
「説明が人によってバラバラ」
「商品知識がなかなか定着しない」
そんなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

