飲食店において、店長とはどんな存在でしょうか。
「一番仕事ができる人」
そう考える方も多いかもしれません。
もちろん、現場能力は重要です。
ですが、これまで数多くの現場や店長を見てきた中で、私は少し違う結論に辿り着きました。
店長に本当に必要なのは、
・数字を見る力
・人を導く力
・チームを作る力
だと思っています。
今日は、これまでの経験をもとに、「店長・マネージャーに必要な5つのスキル」をまとめてみたいと思います。
店長に必要なのは「一番仕事ができること」ではない
店長=エースではない
店長という役職に就く人は、多くの場合、
・何かしらの成果を出した
・会社の価値観を体現している
・周囲から信頼されている
など、理由があって任されています。
もちろん時には、
「他に任せる人がいないから」
というケースもあります。
ですが、どんな理由であれ、店長という立場になると、求められるものは変わります。
それは、“自分が成果を出すこと”よりも、“チームで成果を出すこと”です。
管理と導く力が重要
現場で非常に仕事ができる人でも、店長として成功するとは限りません。
逆に、突出した接客スキルがなくても、素晴らしい店長はたくさんいます。
なぜなら、店長の本質は「管理」と「人を導くこと」だからです。
その視点で考えた時、店長に必要なスキルは、大きく5つあると私は考えています。
1.金勘定|黒字を作る力
ヒト・モノ・カネを管理する
店長・マネージャーにおいて、一丁目一番地とも言えるのが、「金勘定」です。
いわゆる、
・ヒト
・モノ
・カネ
を管理する力です。
“ヒト” は、人件費や必要人員。
“モノ” は、備品や消耗品。
“カネ” は、売上や利益、予算管理です。
ここで大切なのは、全てが「逆算」で成り立っているということです。
売上目標を立て、その数字に到達するために、
- 何人必要か
- どれだけ仕入れるか
- どの時間帯を強化するか
を考えていく。
つまり、店長の仕事とは、「感覚」ではなく「設計」に近いのです。
全ては逆算で成り立つ
実際のところ、この金勘定に長けている人は、非常に少ないです。
接客が上手い人はたくさんいます。
ですが、
「利益を残しながら運営できる人」
となると、一気に少なくなります。
シフト作成や発注業務自体は、必ずしも店長が行う必要はありません。
ですが、“管理できている”ことは絶対条件です。
黒字を作れなければ、お店は続きません。
だからこそ、お金の管理は、店長にとって最も重要な仕事なのです。
2.教育・指導|人を導く力
接客技術より人間力
ホールサービス出身の店長というと、
「接客技術が飛び抜けている人」
を想像されることがあります。
ですが、実際にはそうとは限りません。
もちろん、一定以上の現場スキルは必要です。
ただ、それ以上に重要なのは、“人を導けること”だと思っています。
例えば、
・人の心を掴むのが上手い
・良い部分を伸ばせる
・責任を取れる
・和を大切にできる
こうした人間的な魅力を持っている人ほど、良い店長になる傾向があります。
スタッフの強みを伸ばす
店長の役割は、自分が一番輝くことではありません。
スタッフそれぞれの強みを見つけ、伸ばしていくことです。
接客が得意な人。
仕込みが得意な人。
空気作りが上手い人。
細かい部分に気付ける人。
それぞれの魅力を活かせる環境を作る。
それが、教育・指導の本質だと思っています。
3.ゴール設定|言葉で現場を動かす
スローガンが空気を作る
店長が思い描くゴールやビジョン。
それを“言葉”にすることも、非常に重要です。
分かりやすく言えば、スローガンです。
・どんなお店を作りたいのか
・どんなサービスを目指すのか
・お客様に何を感じてほしいのか
これを明確に言葉にし、浸透させている現場は強いです。
現場に“芯”を通す
以前、ある優れた店長が掲げていた言葉が、今でも印象に残っています。
「明るく、元気に、爽やかに」
とてもシンプルな言葉です。
ですが、その店長自身が率先して体現していたことで、現場全体にその空気が生まれていました。
言葉には、現場の方向性を揃える力があります。
スタッフ全員が、
「どこへ向かうのか」
を理解しているお店は、サービスにも“芯”が通ります。
4.チーム構築|役割を与える力
全部できる必要はない
仕事ができる人ほど、
「自分が全部できなければいけない」
と思いがちです。
ですが、店長が全てを完璧にこなしてしまうと、逆にチームは育ちません。
店長の役割は、自分が全部やることではなく、
「誰が、どこで力を発揮できるか」
を見極めることです。
得意不得意を見極める
スタッフには、それぞれ得意不得意があります。
その特性を理解し、
- どんな役割を任せるか
- どこで輝けるか
を考え、立ち位置を作っていく。
すると人は、
「自分はこの店に必要とされている」
と感じるようになります。
チーム構築とは、単なる人員配置ではありません。
一人ひとりが“貢献実感”を持てる環境を作ることだと思っています。
5.慢心を戒める|組織を壊さない力
“自分が回している”の危険性
チーム運営をしていると、時に、
「自分がいないとこの店は回らない」
という感覚を持つスタッフが現れます。
これは現場では、よくあることです。
ですが、その状態を放置すると、少しずつバランスが崩れていきます。
指摘とフォローはセット
大切なのは、“注意すること”だけではありません。
その後のフォローまで含めて設計することです。
以前見た現場では、
あえてセカンドポジションの人間が厳しく指摘し、店長がフォローに回る。
そんな役割分担をしている店舗もありました。
それが成立していたのは、お互いの信頼関係があったからです。
私自身も、スタッフへ厳しいことを伝える際には、事前に信頼できる立場の人へ共有し、フォローをお願いすることがありました。
組織を守るとは、ただ叱ることではありません。
「なぜ注意するのか」
「その後どう支えるのか」
そこまで考えられて、初めて組織は健全に機能するのだと思います。
まとめ|店長の仕事は「人を活かし、黒字を作ること」
店長・マネージャーに必要なスキルは、たくさんあります。
ですが、突き詰めると、
「人を活かしながら、黒字を作ること」
に集約されるのではないでしょうか。
そのために必要なのが、
・数字を見る力
・人を導く力
・方向性を示す力
・チームを作る力
・組織を守る力
です。
どれも簡単なことではありません。
私自身、失敗を繰り返しながら学んできました。
ですが、だからこそ、今店長をされている方や、これから店長を目指す方には、ぜひ意識していただきたいと思っています。
少しでも参考になれば幸いです。
