棚卸不正事例架空在庫

不正防止管理術 事例集 店長・教育

飲食店の棚卸不正事例|架空在庫による原価操作が発覚した話

飲食店における不正というと、

  • レジの横領
  • 売上金の着服

を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし実際には、

「在庫を操作する不正」

も存在します。

今回は、私が過去に在籍していた企業で実際に発覚した、

棚卸不正の事例についてお話しします。


ボーナス制度が生んだ歪み

その企業では、店舗の業績によってボーナス額が大きく変動する制度を採用していました。

店長や料理長の評価は、

  • 売上予算達成率
  • F/Lコスト達成率
  • 品質評価

などを総合して決定されます。

特に好成績を残した店舗では、

店長や料理長に年間で数か月分を超えるボーナスが支給されることもありました。

成果を出した人が評価される。

非常に魅力的な制度だったと思います。

しかし一方で、

数字へのプレッシャーも生まれます。

そして、そのプレッシャーが不正の温床になることがあります。


発覚した棚卸不正

問題が発覚したのは、

ある高単価レストランでした。

客単価は1万円以上。

ワイン在庫も豊富な店舗です。

後任店長からの申告によって、

ある事実が明らかになりました。

それは、

「実際には存在しないワイン在庫が計上されていた」

ということでした。

つまり架空在庫です。


なぜワインは不正に利用されやすいのか

ワインは棚卸不正が起きやすい商品です。

理由は単純です。

在庫金額が大きい

高単価店では、

ワイン在庫だけで数十万円から100万円以上になることもあります。

少し数字を動かすだけでも、

原価率へ大きな影響を与えます。


長期間動かない商品がある

数か月、

場合によっては1年以上売れないワインもあります。

そのため、

「本当にあったのか」

「すでに売れているのか」

が分かりづらくなります。


専門性が高い

銘柄数が多く、

価格帯も幅広い。

担当者以外が在庫を正確に把握できないことも珍しくありません。


不正の目的は原価率の操作

今回のケースでは、

ボーナス査定に関わる原価率を良く見せるため、

架空在庫を計上していました。

在庫が多く残っていることにすれば、

帳簿上の原価は下がります。

つまり、

実際より利益が出ているように見せられるのです。

数字だけ見れば優秀に見えます。

しかし当然ながら、

実態とは異なります。


発覚したのは退職後

興味深いのは、

不正が発覚したのが本人の退職後だったことです。

後任店長は、元々前任の店長がいた頃からのスタッフで、

実際に架空在庫に関して承知していました。

引き継いだ在庫と実際の在庫が合わないことも知っていたので、悩み続けました。

最終的に、

「このままでは説明できない」

と会社へ申告。

調査によって架空在庫の存在が明らかになりました。

もし後任者が問題提起しなければ、

さらに長期間発覚しなかった可能性もあります。


不正は制度設計とセットで考える

私はこの件から、

強く学んだことがあります。

それは、

評価制度と不正防止制度は必ずセットで設計しなければならない

ということです。

成果報酬を導入すること自体は悪いことではありません。

むしろ優秀な人材を育てるために必要です。

しかし、

数字を追わせるなら、

数字を検証する仕組みも必要になります。


棚卸不正を防ぐ方法

棚卸を複数人で行う

一人だけで棚卸を行うと、

誰にも気付かれず数字を操作できます。

必ず複数人で確認する仕組みを作るべきです。


上司による定期監査

数回に一度でも構いません。

エリアマネージャーやオーナーが立ち会うだけで、

不正抑止効果は大きくなります。


現物確認を習慣化する

帳簿だけではなく、

実際の在庫を見る。

当たり前ですが非常に重要です。


高額商品を重点管理する

ワインなどの、酒類の在庫金額が大きい商品は、別管理することも有効です。


まとめ|不正を防ぐのは性善説ではなく仕組み

今回の事例は、

決して特殊な話ではありません。

数字に責任を持たせる以上、

数字を操作したくなる誘惑は誰にでもあります。

だからこそ経営者や管理者は、

人を疑うのではなく、

不正が起きにくい環境を作らなければなりません。

棚卸は単なる在庫確認ではありません。

店舗の利益を守り、

組織への信頼を守るための重要な管理業務です。

特にワインや日本酒など高額在庫を扱う店舗では、

定期的に棚卸の仕組みそのものを見直してみることをおすすめします。

 

飲食店の不正を防ぐには

合わせて読んでほしい

-不正防止管理術, 事例集, 店長・教育