飲食店における不正というと、
POS操作による横領や棚卸不正が注目されがちです。
しかし実際には、
店舗内で管理している現金そのものに関する不正も少なくありません。
店舗には日常的に、
- 釣銭金
- 小口現金
- 売上金
が存在します。
そして、それらは適切な管理がされていなければ不正の対象になります。
今回は、私自身が見聞きした実際の事例をもとに、現金管理の重要性についてお話しします。
店舗に保管する現金は本当に適正か?
まず考えたいのは、
店舗内にどれだけの現金を置くべきかという問題です。
釣銭金は、
- 売上規模
- 客単価
- レジ台数
- キャッシュレス比率
などによって変わります。
小口現金も、
- 使用目的
- 利用頻度
- 予備費
を考慮して設定する必要があります。
重要なのは、
「万が一盗難や不正が起きたときの被害額を最小化すること」
です。
現金が多ければ多いほど、
被害額だけでなく、
調査や対応にかかる時間的コストも増大します。
事例① 釣銭金40万円が消えた
ある大型店舗で実際に起きた事件です。
その店舗は月商6,000万円を超える大型店でした。
営業終了後、
レジ締めのために釣銭金をまとめていた際、
担当者が一瞬目を離した隙に、
約40万円の釣銭金が消えました。
当然ながら外部犯行ではありません。
店舗関係者による持ち去りです。
驚いたのはその後
さらに驚いたのは、
翌月、
同じ店舗でほぼ同様の事件が発生したことでした。
犯人が同一だったのか、
模倣犯だったのか、
真相は公表されませんでした。
しかし明らかなのは、
最初の事件後の再発防止策が十分ではなかったことです。
教訓
不正が起きた場合は、
犯人探しよりも先に、
同じことが起きない仕組み作りが必要です。
事例② 給与未払いによる持ち逃げ
これは一緒に働いたスタッフから聞いた話です。
その店舗では給与遅延が慢性化していました。
連絡してもオーナーと連絡が取れない。
支払い時期も不明。
そこで責任者だった料理長が、
未払い給与と交通費を計算し、
売上金と釣銭金から該当額を持ち出して退職したそうです。
本人は
「未払い給与の回収」
という認識だったのでしょう。
しかし当然ながら正当な行為ではありません。
教訓
給与トラブルは、
従業員不正を誘発するリスクがあります。
経営者の信用問題でもあります。
事例③ 売上金そのものの横領
私が責任者を務めていた会社では、
売上金を店舗金庫で保管し、
翌営業日に銀行へ入金する運用でした。
よくある方法です。
しかし過去には、
売上金が多く貯まるタイミングを狙い、
売上金を丸ごと持ち逃げしたスタッフがいたそうです。
幸い、
防犯カメラによってすぐに発覚しました。
教訓
売上金は信用で管理してはいけません。
- 防犯カメラ
- 金庫管理
- 入退室管理
など、
仕組みで守る必要があります。
事例④ 小口現金を自分の財布代わりに使う
ある店舗では、
遠方から通勤するスタッフが頻繁に店泊していました。
そのスタッフは、
所持金が不足すると、
店舗の小口現金を使っていました。
- コンビニでの買い物
- 飲食代
- 漫画喫茶代
などです。
月末までには補填していたそうですが、
問題はそこではありません。
店舗資金を個人の財布のように扱える状態だったことです。
教訓
小口現金は最低限に抑える。
利用ルールを明確にする。
この二つが重要です。
事例⑤ 消耗品購入を利用した不正
これも実際に聞いた話です。
店舗で使用する消耗品を薬局で購入していた担当者がいました。
当時はレシートに詳細が出ないケースも多く、
その担当者は、
- 店舗用品
- 自宅用品
- 栄養ドリンク
をまとめて購入し、
全額を店舗経費として精算していました。
さらにポイントカードのポイントも個人取得。
本人は悪びれる様子もなく話していました。
教訓
小口精算は、
レシート添付だけでは不十分です。
何を購入したのか確認できる仕組みが必要です。
現金不正を防ぐために必要なこと
これらの事例には共通点があります。
それは、
「人を信用しすぎた状態」
です。
もちろん信頼関係は大切です。
しかし、
管理とは性善説だけでは成立しません。
不正防止のための基本ルール
- 現金は必要最低限だけ保管する
- 防犯カメラを設置する
- 金庫管理を複数人で行う
- 小口利用を申請制にする
- 定期監査を実施する
- 不正発覚時は再発防止策まで徹底する
まとめ|現金管理は仕組みで守る
不正は、
「悪い人がいるから起きる」
のではありません。
不正できる環境があるから起きます。
だからこそ経営者や店長は、
人を疑うのではなく、
不正が起きにくい仕組みを作ることに力を注ぐべきです。
店舗に現金が存在する以上、
リスクはゼロにはなりません。
だからこそ、
現金は最小限に。
管理は最大限に。
これが現場で学んだ、私なりの結論です。
