上司から教わったこと
昔、上司から教わった忘れられない言葉があります。
それは、
「乾杯の言葉を逃すな。」
というものでした。
当時の僕は、(なるほどな)と思いましたが、
どれだけ大事なのかは、よく分かっていませんでした。
ですが、現場経験を重ねる中で、
この言葉の意味を何度も実感することになります。
お客様は料理を食べに来ているわけではない
飲食店を利用する理由は様々です。
誕生日。
接待。
デート。
歓迎会。
送別会。
商談。
家族団らん。
久しぶりの再会。
お客様は料理を食べるためだけに来店しているわけではありません。
何かしらの目的を持って来店されています。
そしてその目的によって、
本来提供すべきサービスは変わります。
乾杯の瞬間に答えがある
そのヒントが最も分かりやすく現れるのが、
乾杯の瞬間です。
例えば、
「おめでとうございます!」
「お疲れ様でした!」
「ありがとうございます!」
「よろしくお願いします!」
「お時間いただきありがとうございます。」
「初めまして。」
こんな言葉が聞こえてきたら、
そのテーブルの目的が見えてきます。
誕生日なのか。
送別会なのか。
接待なのか。
初顔合わせなのか。
乾杯は、
お客様自身が来店理由を教えてくれる瞬間なのです。
背景を知るとサービスが変わる
背景を知らなければ、
サービスは画一的になります。
注文を取る。
料理を出す。
皿を下げる。
会計をする。
もちろんそれでも営業は成立します。
でも、
お客様の記憶に残るサービスになるでしょうか。
僕は難しいと思います。
本当に大事なのは「+α」
例えば接待。
この場合の主役は誰でしょう。
支払いをする人ではありません。
招待されたゲストです。
接待を成功させることが目的です。
だから、
誰がゲストなのか。
誰を立てるべきなのか。
乾杯のとき、その前後で交わされる会話に耳を澄ましていれば、
どんなサービスが有効なのか?
が見えてきます。
家族連れも同じ
家族で来店された場合も同じです。
誕生日なのか。
卒業祝いなのか。
ただの外食なのか。
背景によって、
こちらの対応は変わります。
例えば、
「誕生日おめでとう」
という乾杯の言葉が聞こえたなら、
簡単なメッセージプレートを用意するだけで、
大きな感動になることがあります。
お客様は、
「ちゃんと気付いてくれた。」
そう感じるからです。
暗黙知のサービス
お客様から直接お願いされたわけではない。
でも気付いて対応した。
そんなサービスがあります。
僕はこれを、
「暗黙知のサービス」
だと思っています。
言葉にされていない期待を汲み取る。
それが飲食店の面白さでもあります。
なぜ多くのお店はできないのか
理由は単純です。
お客様に興味がないから。
あるいは、
興味を持つ余裕がないからです。
もちろん、
コンセプトとしてお客様との会話を極力減らすお店もあります。
それはそれで正しい。
ですが、
そういうコンセプトでもないのに、
お客様との関係を築こうとしないお店は、
長期的には苦しくなります。
なぜなら、
リピーターは関係性から生まれるからです。
乾杯の言葉から始めてみる
お客様を理解することは、
難しいことではありません。
まずは乾杯の瞬間に耳を傾けてみること。
そこには、
来店理由。
期待。
目的。
感情。
様々なヒントがあります。
そしてその情報を元に、
「自分たちに何ができるだろう?」
と考える。
それだけでサービスは変わります。
まとめ|サービスの第一歩は興味を持つこと
料理やドリンクの知識も大切です。
技術も大切です。
でもその前に必要なのは、
お客様に興味を持つこと。
乾杯の言葉は、
その入り口になります。
お客様は何を求めて来店されたのか。
今日はどんな時間を過ごしたいのか。
そのヒントを見つけるために、
まずは乾杯の瞬間に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
ご参考になれば幸いです。
