お客様に覚えてもらう前に|まずお客様を覚えるということ
飲食店で働いていると、
「常連のお客様を増やしたい」
という言葉をよく耳にします。
しかし、そのために必要なことは何でしょうか。
特別なサービスでしょうか。
気の利いた会話でしょうか。
もちろんそれらも大切です。
ですが、その前にもっと大切なことがあります。
それは、
お客様を覚えること。
今日は、私が現場で実践していた、とてもシンプルな方法をご紹介します。
たった一文字が関係を変える
スタッフにはよく、
「まずは“一文字”を意識しよう」
と伝えていました。
その一文字とは、
「あ」
です。
「あ、こんにちは」
「あ、こんばんは」
「あ、どうも」
普段、私たちは無意識に使っています。
しかし、この「あ」には大きな意味があります。
それは、
「私はあなたを認識しています」
というメッセージだからです。
お客様は認知されることに敏感
何度か通ったお店で、
「いつもありがとうございます」
と声を掛けられた経験はありませんか。
逆に、
何度来ても毎回初めて来店したかのような対応をされると、
少し寂しい気持ちになることもあります。
お客様は、
料理だけでなく、
「自分を覚えてくれているか」
にも意外と敏感です。
だからこそ、
認知されていることを伝える小さなサインが大切になります。
「あ」が出るまで意外と時間がかかる
実は私自身もそうでした。
お客様の顔を覚えていても、
自然に「あ」が出るまでには時間がかかります。
何度もお会いして、
会話を重ねて、
ようやく自然に出るようになる。
そんなケースも少なくありません。
だからこそ、
私はスタッフにこう伝えていました。
二回目のお客様には必ず「あ」を言おう
例えば、
「二回目にご来店されたお客様には、必ず『あ、こんばんは』と言おう」
という目標を、まず作ります。
しかしこれだけでは達成できません。
具体的にオペレーションに落とし込むには、どうすればいいでしょうか。
システムだけではリピーターだと分からない
例えば予約管理システムで、前回来店された内容が登録されている事がデフォルトだと、
労せずにリピーターだと認識できますが、それだけでは、実は難しいのです。
というのも、僕も実際に経験した事があるのですが、
予約者のみ登録されていて、同伴者は情報の登録がされないのが一般的です。
履歴がないからといって、初来店とは限らないのです。
となると、やはりマンパワー、人が覚える必要があります。
ではどうやって、覚える様にするのか?
特に大事なのは、会話です。
会話をすると、人は人を覚えやすくなります。
忘れていたとしても、会話がフックとなって、思い出す事ができるきっかけとなります。
なので、お客様と積極的に会話をする様に皆で努める。
会話を奨励する。
会話の中で、お客様を覚える様に努めるように徹底します。
すると何が起きるでしょうか。
スタッフは自然と、お客様との会話を楽しみ、
覚える様になります。
つまり、
お客様への関心が生まれるのです。
人対人の関係は認知から始まる
接客の本質は、
料理を運ぶことでも、
オーダーを取ることでもありません。
人と人との関係を築くことです。
そしてその第一歩が、
「あなたを覚えています」
というサインを送ること。
名前を知らなくても構いません。
会話がなくても構いません。
まずは、
「あ」
の一文字から始めればいいのです。
現場で実践していたこと
私が店長をしていた頃は、
お客様の来店履歴をできる限り把握していました。
前述の「会話」によって。
そして、
「あの方、二回目だね」
と、スタッフに共有していました。
すると担当スタッフが、
「あ、こんばんは」
と自然に声を掛けられるようになります。
そこから会話が生まれ、
関係が生まれ、
やがて常連のお客様になってくださる。
そんな場面を何度も見てきました。
リピーターは偶然生まれない
常連のお客様は、
気付いたら生まれるわけではありません。
お店側が関心を持ち、
覚え、
認知し、
関係を築こうとした結果として生まれます。
その最初のきっかけが、
たった一文字の「あ」。
小さなことですが、
人と人との関係づくりにおいては、とても大きな意味を持っています。
もしお客様との距離を縮めたいと思うなら、
まずは次に来店されたお客様へ、
「あ、こんばんは」
と言うところから始めてみてはいかがでしょうか。
