飲食店アルバイト卒業生たちの声

Column 事例集

飲食店アルバイトは社会人の予備校だった|卒業生たちの声から考える人材育成

先日、昔一緒に働いていた学生アルバイトたちに連絡を取った。

「飲食店で働いた経験は、今の仕事に役立っていますか?」

そんな問いに対して返ってきた答えは、予想以上に興味深いものだった。

彼らは今、それぞれ別の道を歩いている。

営業職。
税理士法人勤務。
外資系企業。
その他さまざまな業界。

それでも全員に共通していたのは、

「飲食店で働いた経験が、社会人になってから役立っている」

ということだった。

もちろん、料理を運ぶ技術やオーダーを取る技術の話ではない。

もっと根本的な部分だ。


相手を観察する力

ある卒業生は、

「お客様が何を求めているのかを考える癖がついた」

と話してくれた。

賑やかなテーブルには積極的に声をかける。

静かに過ごしたいお客様には必要以上に踏み込まない。

同じサービスでも、相手によって正解は変わる。

これは営業でも、事務でも、マネジメントでも同じだ。

仕事とは、自分の都合ではなく相手の期待を満たすこと。

その原点を学生時代に経験できたことは大きかったのだろう。


周囲を見る力

別の卒業生は、

「周りの次の行動を考えながら動くようになった」

と答えてくれた。

飲食店の現場はチーム戦だ。

自分だけ仕事が終わっても意味がない。

誰が困っているのか。

何が滞っているのか。

どこをフォローすれば全体が良くなるのか。

常に周囲を見る習慣が身につく。

税理士法人に勤める卒業生も、

「今でも人より気づくことが多い」

と話していた。

お客様の飲み物の減り具合を見ていた癖は、今では顧客対応や社内調整に活かされているらしい。


伝える力

電話応対。

敬語。

報告。

連絡。

相談。

飲食店では当たり前のように求められる。

しかし社会人になってから苦労する人も多い部分だ。

特に印象的だったのは、

「ミスが起きた時ほど、素早く簡潔に伝えることの大切さを学んだ」

という声だった。

問題は起きる。

大事なのは隠さないこと。

そして正しく伝えること。

これはどんな職種でも変わらない。


理不尽との向き合い方

飲食店には様々なお客様が来店する。

時には理不尽なクレームを受けることもある。

そんな経験をした卒業生は、

「まず自責で考える癖がついた」

と話していた。

もちろん、すべて自分が悪いわけではない。

それでも、

『相手がそう感じた原因は何だろう』

と考える習慣は、その後の仕事にも役立っているそうだ。

感情で反応するのではなく、冷静に対応する。

社会人として重要な能力のひとつだと思う。


信頼は一日では作れない

今回のアンケートで、個人的に一番印象に残った言葉がある。

「信頼を積み重ねることの大切さを学んだ」

という言葉だ。

真面目に働き続ける。

約束を守る。

周囲を助ける。

そんな小さな積み重ねが信頼になる。

だからこそ、たまに失敗しても周囲が助けてくれる。

逆に言えば、信頼残高がなければ誰も助けてくれない。

社会人になってからも変わらない原理だ。


飲食店で学ぶのは料理や接客だけではない

今回、卒業生たちから話を聞いて改めて思った。

飲食店のアルバイトは、料理を運ぶ場所ではない。

社会に出る前に、

  • 相手を見る力
  • 周囲を見る力
  • 伝える力
  • 信頼を築く力
  • 理不尽と向き合う力

を学べる場所なのだ。

もちろん大変な仕事だ。

忙しい。

失敗もする。

怒られることもある。

それでも、その経験は必ずどこかで役に立つ。

今、学生アルバイトとして働いている人たちには、

「その経験は思っている以上に将来の財産になる」

と伝えたい。

そして、昔一緒に働いた彼らが、それぞれの場所で活躍していることを、とても嬉しく思う。

 

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