飲食業界は慢性的な人材不足と言われています。
求人を出しても応募が来ない。
採用しても定着しない。
ようやく育ったと思ったら独立や転職で辞めてしまう。
そんな悩みを抱えている経営者や店長は少なくありません。
しかし、私は20年以上飲食店の現場で管理職を経験する中で、一つの結論に辿り着きました。
それは、
「スタッフの成長に貢献する店ほど、人が育ち、人が集まる」
ということです。
もちろん、お客様に喜んでもらうことは飲食店の使命です。
しかし、その価値を提供しているのは人です。
だからこそ、お客様満足だけでなく、
働くスタッフの成長にも真剣に向き合う必要があります。
今回は、私が現場で大切にしてきた
「スタッフの成長への貢献」という考え方についてお話したいと思います。
スタッフは労働力ではなく未来への投資
自営業時代、私はスタッフを単なる労働力として考えたことはありませんでした。
スタッフは、
「お客様に喜んでもらうための協力者」
です。
しかし、この考え方には条件があります。
その人自身が、
「人に喜んでもらうことに価値を感じられる人」
であることです。
もしその価値観が一致していなければ、
- こんなに頑張っているのに
- なぜ自分ばかり
という不満が生まれてしまいます。
反対に、人を喜ばせることに喜びを感じられる人は、
自然と成長していきます。
だからこそ私は、
お客様への貢献と同じくらい、スタッフへの貢献を大切にしてきました。
成長する人材に共通する2つの特徴
人材育成で大切なのは、
「誰でも育てられる」と考えることではありません。
成長する人には共通点があります。
1. 素直さ
素直な人は成長が早いです。
- 分からないことを聞ける
- 指摘を受け入れられる
- 教わったことをまずやってみる
この姿勢がある人は、
経験が浅くてもどんどん成長します。
反対に、
「でも」
「だって」
が先に来る人は、
どうしても成長が遅くなります。
2. 成長意欲
もう一つは、
昨日の自分より成長したいと思えること。
です。
経験や能力は後から身につきます。
しかし、
「もっと出来るようになりたい」
という気持ちは、
本人の中にしかありません。
私はそういう人に対しては、
積極的にチャンスを与えてきました。
店が提供すべき3つの成長機会
成長意欲がある人に対して、
店側は何を提供すべきなのでしょうか。
1. コミュニケーション力
飲食業は人と人との仕事です。
ただ話が上手いだけではありません。
重要なのは、
- 相手の話を聞けること
- 相手の立場で考えられること
- 相手の感情を想像できること
です。
私は、
「聞き上手こそサービス上手」
だと思っています。
2. 知識
商品知識も重要です。
例えば先日訪れたお店で、
外国人のお客様が、
「いぶりがっこって何ですか?」
と質問されました。
しかしスタッフは説明できず、
そのまま会話が終わってしまいました。
知らないことは悪いことではありません。
しかし、
知らないまま放置することは成長を止めます。
調べる。
覚える。
伝えられるようになる。
その積み重ねが自信になります。
3. 行動力
積極的に動く人は伸びます。
特に、
- 洗い場
- 掃除
- 片付け
といった、
誰もやりたがらない仕事を率先してやる人は評価するべきです。
なぜなら、
そうした人は必ず周囲から信頼されるからです。
そして信頼は、
リーダーになるための土台になります。
スタッフへの貢献とは何か
昔、卒業するアルバイトスタッフへ向けてメッセージを書いたことがあります。
その後、私が異動して何年も経ってから、
「この文章をずっと保存していました」
と別の卒業生が見せてくれました。
その時、
伝えたかったことは間違っていなかった
と感じました。
そのメッセージの中で伝えたことは二つです。
小さなことをサボらず続けること
青山学院大学陸上部の原監督は、
「まず生活習慣を整えた」
と語っています。
イチロー選手も、
小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道
と言っています。
仕事も同じです。
特別な才能よりも、
当たり前のことを当たり前に続けられる人が強い。
私はそう思います。
自分の本音を大切にすること
あるスタッフは、
「カッコよくなりたい」
と言っていました。
私はその言葉が好きでした。
なぜなら、
本音だったからです。
- モテたい
- お金持ちになりたい
- 有名になりたい
- 人の役に立ちたい
理由は何でもいいと思います。
大切なのは、
自分が本当に望んでいることを知ること。
そして、そのために努力することです。
人は辞めても文化は残る
やる気のある人ほど目標を持っています。
だから、
- 独立する
- 転職する
- 新しい挑戦をする
そんな日が来るかもしれません。
でも、それは悪いことではありません。
私は、
「辞めない人を作る」ことが人材育成だとは思っていません。
それよりも、
「ここで働いて良かった」
と思ってもらうこと。
そして、
その人が残してくれた姿勢や考え方が、
次の世代へ受け継がれていくこと。
それこそが本当の人材育成だと思っています。
店の未来は文化がつくる
強豪校が強い理由。
名門企業が強い理由。
それは人が変わっても、
文化が残るからです。
飲食店も同じです。
- 挨拶を大事にする
- お客様をよく見る
- 仲間を助ける
- 手を抜かない
そんな文化を作れる店は強い。
そしてその文化は、
一人ひとりのスタッフへの貢献から生まれます。
まとめ|スタッフへの貢献がお客様への貢献になる
お客様満足を高めたい。
売上を伸ばしたい。
良い店を作りたい。
その全ての出発点は人です。
だからこそ、
スタッフの成長に貢献すること。
まずは今日、
スタッフがやってくれた良い行動を一つ見つけて、
言葉にして伝えてみてください。
その積み重ねが信頼を生み、
文化を生み、
やがて店の未来を作ります。
そして私は、
お客様への貢献は、スタッフへの貢献から始まる。
そう考えています。
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