営業力は、どの企業も喉から手が出るほど欲しい
以前、私が勤めていた会社の会議で、社長がふとこんなことを口にしました。
「〇〇(有名パスタチェーン)の純利益率は20%を超えているらしいぞ」
飲食業界に携わる方なら、この数字がどれほど驚異的か分かると思います。
一般的な飲食店の利益率は5〜10%程度。
15%を超えれば優秀と言われる世界です。
その数字に衝撃を受けた会社は、
「自分たちでも全国展開できるパスタチェーンを作ろう」
という新たなプロジェクトを立ち上げました。
その際、外部から招聘されたコンセプトリーダーが、社内向け説明会でこんな話をしていました。
「この会社の強みは営業力です」
「そして営業力というのは、どの企業も喉から手が出るほど欲しい能力です」
当時は何となく聞いていましたが、今振り返ると、その言葉の意味がよく分かります。
営業初心者が最初にぶつかる壁
営業が苦手な人に共通していることがあります。
それは、
断られるのが怖い
ということです。
飲食店でも同じです。
例えば、
「お飲み物のお代わりはいかがですか?」
この一言。
簡単そうに見えて、意外と言えない人が多いのです。
断られたらどうしよう。
しつこいと思われないだろうか。
迷惑ではないだろうか。
そんな不安が先に立ちます。
しかし、飲食店における営業とは何でしょうか。
私は、
お客様により楽しんでいただくための提案
だと思っています。
特にドリンクはそうです。
実際、飲食店ではフード一品よりも、ドリンク一杯の方が利益率は高いことが少なくありません。
だからこそ、お代わりを提案することは、お客様の満足度にも、お店の利益にも直結する重要な仕事なのです。
なぜ営業力が育ったのか?
私がいた会社では、
「グラスの残量が指二本分になったらお代わりを聞く」
というルールがありました。
実は、このルール自体は珍しくありません。
多くの飲食店でも似たようなルールがあります。
問題は、
決まっていても実行されない
ことです。
では、なぜ私たちの会社では機能していたのでしょうか。
答えはシンプルです。
お代わりを聞かないことが、
“イケてない”
と評価される文化だったからです。
「イケてない」が怖かった
もちろん人格否定ではありません。
しかし、
「仕事できないよね」
という意味合いは十分に含まれていました。
今の時代には合わない部分もあるかもしれません。
ですが当時の私たちは、
「見返してやろう」
「次は絶対に聞こう」
と本気で思っていました。
そうして何度もチャレンジするうちに、
断られることへの恐怖がなくなっていったのです。
気付けば、
お代わりを聞くのは当たり前。
おすすめを提案するのも当たり前。
そんな価値観になっていました。
営業力は技術ではなく文化
今振り返ると、
私たちが学んだのは営業テクニックではありませんでした。
営業力を支える価値観です。
お代わりを聞くのは売上のためではない。
⇒ お客様にもっと楽しんでもらうため。
おすすめを提案するのは押し売りではない。
⇒ より良い体験をしてもらうため。
そういう考え方が、日々の会話や指導を通じて浸透していました。
だから営業力が育ったのです。
売る姿勢は店長が作る
結局のところ、
営業力は店長次第だと思っています。
スタッフはリーダーの背中を見ています。
おすすめを提案しているか。
お客様との会話を楽しんでいるか。
断られることを恐れていないか。
そうした姿勢は必ず伝染します。
逆に店長自身が営業を避けていると、
スタッフも営業しなくなります。
営業力とは、
教育資料ではなく文化として伝わるものなのです。
まとめ|営業力は文化として育てる
営業力とは、特別な才能ではありません。
また、小手先のテクニックでもありません。
お客様のために提案する。
その価値観を組織として持てるかどうかです。
断られることを恐れず、
より良い時間を提供しようとする姿勢。
それが積み重なった先に営業力があります。
だからこそ、
営業力がある会社は強い。
そして営業力は、人ではなく文化として育てるものなのだと思います。
ちなみに当時の私は、
「お前、イケてないな」
の一言で簡単に燃えるタイプでした。
店長からすると、ずいぶん扱いやすい部下だったと思います(笑)。
ですが、そのおかげで、お代わりの聞き方も、おすすめの提案も、本当にたくさん学ばせてもらいました。
その話は、また別の機会に書いてみたいと思います。
「おすすめが言えない」
「追加注文が取れない」
「スタッフが受け身になっている」
そんな悩みを抱えている店舗は少なくありません。
しかし問題は、スタッフ個人の能力ではなく、店舗の文化や行動指針にある場合も多いものです。
DUEでは、飲食店の現場改善やスタッフ教育を通じて、「お客様に喜んでいただくための行動」が自然に生まれる仕組みづくりをお手伝いしています。
ご興味があれば、お気軽にご相談ください。

