飲食店の採用方法として、私が最もおすすめしたいのは、リファーラル採用です。
聞き慣れない方もいるかもしれませんが、簡単に言えば、
「スタッフや知人からの紹介による採用」
のことです。
人手不足が深刻化している今、求人媒体への掲載や派遣スタッフの活用に頼る店舗も増えています。
しかし私は、20年以上飲食業界に携わってきた経験から、
最も定着率が高く、最もコストパフォーマンスが良い採用方法は紹介採用だ
と考えています。
今日はその理由をお話しします。
私が最初に学んだ紹介制度
私が最初に勤めた飲食企業では、紹介制度が非常に機能していました。
紹介したスタッフに対し、
一定期間勤務を継続した場合
10万円の報奨金
が支払われる制度だったのです。
今から20年以上前、2001〜2002年頃の話です。
当時のアルバイト時給は850円程度。
10万円は非常に大きな金額でした。
私自身、店長時代にこの制度を利用して、スタッフからの紹介で3名を採用しました。
面白かったのは、多くの場合、
紹介した側と紹介された側で報奨金10万円を、5万円づつ分けていたこと。
つまり、
「一緒に頑張ろう」
という関係性が入社前からできている人を紹介するのです。
採用コスト10万円は高いのか?
現在の飲食店では、アルバイト一人あたりの採用コストは数万円〜十数万円かかることも珍しくありません。
- 求人媒体へ掲載し、
- 応募対応を行い、
- 面接を実施し、
- 研修を行う。
そこまでしても、
1か月や短期間で辞めてしまうケースもよくあります。
そう考えると、
「10万円払うのは高い」
とは一概には言えません。
むしろ私は安いと感じています。
リファーラル採用が強い4つの理由
1.紹介する側が事前に選別している
紹介者は、
「続かなそうな人」
を基本的には紹介しません。
自分の評価にも関わるからです。
その時点で一定のフィルターがかかっています。
2.紹介された側が辞めにくい
紹介してくれた人の顔に泥を塗りたくない。
そういう心理が働きます。
結果として定着率が高くなります。
3.紹介した側が面倒を見る
通常採用よりも、
紹介者が自然とフォローに入ります。
教育コストも軽減されます。
4.入社時の不安が少ない
事前に職場の雰囲気や仕事内容を聞いているため、
ミスマッチが少ない。
これも大きなメリットです。
求人媒体の採用コストが高く感じる理由
私が求人媒体を高いと感じる理由は一つです。
ミスマッチが多いから。
媒体掲載費。
面接時間。
オリエンテーション。
教育コスト。
それらをかけても、
すぐ辞めるケースがある。
そして採用側は、
「辞める前提」
で余分に採用することになります。
つまり、
本当の採用コストは掲載費だけではありません。
教育や離職も含めた総コストで考える必要があります。
小規模店で実践していた採用方法
私が自営業で店を経営していた頃、
長く続いたスタッフの多くは紹介入社でした。
中には、
お客様からスタッフを紹介していただいたこともあります。
その際はお礼として食事へご招待したり、
少し良いワインをご用意したりしました。
それでもコストは数万円程度。
求人媒体よりも圧倒的に安く、
なおかつ定着率も高かったのです。
リファーラル採用の落とし穴
もちろん良いことばかりではありません。
総上がりリスク
私も経験があります。
シェフが退職した際、
紹介で入社したキッチンスタッフが全員辞めました。
いわゆる
「総上がり」
です。
属人化リスク
特定の人に依存しすぎると、
その人が抜けた時に組織が崩れます。
紹介採用を活用しながらも、
組織として仕組み化することが大切です。
紹介制度の前に整えるべきこと
ここが一番重要です。
紹介制度は、
職場環境が整っていて初めて機能します。
まかないに手を抜かない
驚かれるかもしれませんが、
飲食店スタッフにとって、
まかないは非常に重要です。
実際に、
「まかないが楽しみで働いている」
というスタッフも少なくありません。
給与は周辺相場より少し高くする
人間関係だけでは限界があります。
特に学生アルバイトは、
時給をしっかり見ています。
同じ働くなら、
少しでも条件の良い職場へ行くのは自然なことです。
知識と技術を与える
私自身、
ワイン講習会を行ったり、
料理とのペアリングを教えたり、
セールストークを共有したりしていました。
成長できる環境は、
それだけで働く理由になります。
類は友を呼ぶ
私は紹介をお願いするスタッフを選んでいました。
なぜなら、
類は友を呼ぶ
と思っていたからです。
仕事への姿勢が良い人は、
似たような価値観の人を連れてきてくれる。
逆もまた然りです。
正しいかどうかは分かりません。
ですが、私自身はそう感じていました。
まとめ|紹介される店には理由がある
リファーラル採用は魔法の採用手法ではありません。
紹介したくなる職場があって初めて成立します。
給与。
人間関係。
教育環境。
成長実感。
そうした土台が整って初めて、
「うちで一緒に働かない?」
という言葉が生まれます。
求人広告を出す前に、
今いるスタッフが誰かを紹介したくなる職場か。
まずはそこから見直してみてはいかがでしょうか。
採用費ばかりが増えて、なかなか人が定着しない。
そんな状況が続いているなら、
求人媒体を変える前に、
店舗の採用導線や教育体制を見直してみませんか?
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