シフト作成は人件費コントロールの要
前回の記事では、人件費を考えるうえで最も重要なのは「生産性」であるとお伝えしました。
今回は、その生産性を活かすための実践編です。
それがシフト作成。
シフト作成は単なる勤務表づくりではありません。
売上機会を逃さないための「攻め」と、
無駄なコストを抑えるための「守り」の両方を担う重要な仕事です。
私はこれまで数多くの店舗でシフトを作成してきましたが、必要なのは次の3つだと思っています。
- 予知力
- 修正力
- 交渉力
この3つが、人件費コントロールの精度を大きく左右します。
まずはシフトに関する約束を作る
意外と見落とされがちですが、シフト作成の前に必要なのはルールです。
私は採用時の面接で必ず伝えていました。
例えば、
前半シフト(1〜15日)
→ 前月20日締切・25日確定
後半シフト(16日〜月末)
→ 当月5日締切・10日確定
このように、必ず確定日を決めていました。
なぜなら、
「シフトはいつ出るか分からない」
という状態は、スタッフに不信感を与えるからです。
そして私も約束を守る代わりに、
「シフト確定後の変更は、自分で代わりを探す」
という約束をお願いしていました。
もちろん病気や家庭事情など例外はあります。
しかし、お互いが約束を守る前提があるからこそ、信頼関係が生まれるのです。
ヒント① 予知力とは情報収集力
経験が浅い人は、全ての日を平均的に組もうとします。
経験者は違います。
忙しい日と暇な日に強弱をつけます。
そのために必要なのが情報です。
私が重視していたのは、
- 予約状況
- 前年同月同曜日の売上
- 過去の日報
- 天候
- 地域イベント
でした。
特にイベント情報は重要です。
学校行事
地域のお祭り
企業の歓送迎会
スポーツイベント
こうした情報を知っているだけで、予測精度は大きく変わります。
予知力とは才能ではありません。
情報を集める習慣です。
ヒント② 修正力とは先を考える力
シフトは完成したら終わりではありません。
完成してからがスタートです。
例えば、
予約が思ったより入らない。
天候が崩れる。
団体予約がキャンセルになる。
こうした変化は日常的に起こります。
だから私は毎日、
「3日後までの営業」
を確認する習慣を持っていました。
そして必要があれば調整を行います。
ただし大切なのは、
約束を軽く扱わないこと。
当日や前日に安易なシフトカットをすると信頼を失います。
私は基本的に3日前、
遅くとも2日前までを判断のデッドラインにしていました。
それ以降は、人員過多でも受け入れる。
それも管理職の責任だと思っています。
ヒント③ 交渉力とは相手のメリットを考えること
人件費コントロールで最も難しいのが交渉です。
人手が足りない。
でも誰も入れない。
そんな状況は珍しくありません。
この時に重要なのは、
「お願いする」
ではなく、
「相手にもメリットを作る」
ことです。
例えば、
土日だけ時給アップ。
繁忙時間帯だけ時給アップ。
短時間勤務でも歓迎。
などです。
私は以前、
ランチピークの90分だけ来てくれるなら、かなり高い時給を払っても良い
と考えていました。
なぜなら、その90分が店舗全体の売上を左右するからです。
重要なのは、
店が得をするか
ではなく、
スタッフも得をするか
を考えること。
交渉力とは、双方が納得できる着地点を探す力だと思っています。
まとめ
シフト作成は単なる事務作業ではありません。
- 情報を集める予知力
- 状況に応じて修正する判断力
- 人を動かす交渉力
これらを総合的に使うマネージメント業務です。
そして人件費コントロールとは、
人を削ることではなく、
適切な人を、適切な時間に配置すること。
その精度を高めることこそが、本来の人件費マネージメントだと私は考えています。
人件費の問題は、シフトだけで解決するものではありません。
採用、教育、評価制度、店舗オペレーション。
それぞれが連動して初めて、人件費は適正化されます。
私はこれまで20年以上にわたり、飲食店の現場で店長・エリアマネージャーとして、人材育成や店舗運営に携わってきました。
現場で起きている問題を整理し、言葉にし、改善策を一緒に考えることができます。
「人が足りない」
「シフトが組めない」
「店長が育たない」
そんな課題を感じている方は、一度お話を聞かせてください。
――あわせて読んで欲しい、【生産性】のお話

