飲食店経営において、不正の問題は避けて通れません。
不正には大きく分けて、
- ヒト
- モノ
- カネ
の3つがあります。
その中でも最も被害が大きくなりやすいのが、
「カネ」の不正
です。
特に現金を扱う店舗では、POSシステムを利用していても横領が発生するケースがあります。
今回は、私自身が現場で経験してきた事例をもとに、不正防止の考え方についてお話ししたいと思います。
飲食店で起こりやすい現金横領
現金横領には様々な手口がありますが、POSシステムを利用している店舗で多いのが、
- VOID処理
- オーダー取消
- オーダーキャンセル
を悪用するケースです。
もちろん、これらの機能自体は不正のために存在しているわけではありません。
本来は運営上必要な機能です。
問題は、
「正当な理由で行われたのか」
という点です。
VOID処理とは?
VOID処理とは、一度完了した会計を取り消し、取引前の状態に戻す機能です。
例えば、
- カード会計を現金で登録してしまった
- 会計方法を間違えた
などの場合に使用します。
本来は人的ミスを修正するための機能です。
不正に利用されるケース
しかし悪意を持ったスタッフは、
会計後に取引を取り消し、
一部商品を削除して再会計することで、
差額を着服することができます。
レジの中の現金は合っていても、
本来あるべき売上が減っているため、
気付かなければ横領は成立してしまいます。
オーダー取消とは?
オーダー取消は、会計そのものを取り消す処理です。
正当な理由としては、
- 大きなクレーム対応
- 全額返金対応
- 店舗判断による無料対応
などが挙げられます。
しかし実際には、
極めて限定的なケースでしか発生しません。
だからこそ、
発生した場合は必ず内容を確認する必要があります。
オーダーキャンセルも要注意
会計前に商品を削除するオーダーキャンセルも同様です。
例えば、
- 提供漏れ
- オーダーミス
- 数量入力ミス
などで発生します。
しかし、
意図的に商品を削除して会計額を下げることも可能です。
そのため、
オーダーキャンセル件数が極端に多いスタッフには注意が必要です。
不正を防ぐ最大のポイント
大切なのは、
VOID処理やオーダーキャンセルを禁止することではありません。
必要な処理だからです。
重要なのは、
「なぜ行われたのかを確認する仕組み」
を作ることです。
ジャーナル管理を徹底する
POSシステムには、
- VOID件数
- オーダー取消件数
- キャンセル件数
などを確認できる機能があります。
私は過去に、
VOID処理が発生した場合、
専用フォーマットへ理由を記入し、
レシート画像と一緒にクラウドへアップロードする仕組みを導入している企業を見たことがあります。
本社担当者が全件確認する運用でした。
その背景には、
実際に過去の横領事件があったからです。
管理されているという意識が重要
興味深いのは、
実際に不正を発見することよりも、
「確認されている」
という認識を持たせることの方が効果が高いことです。
人は、
誰も見ていないと思うとルールを破りやすくなります。
逆に、
確認されることが前提になると、
不正そのものを考えなくなります。
不正防止は仕組みで行う
不正防止は性善説だけでは成り立ちません。
だからといって、
全員を疑い続ける必要もありません。
重要なのは、
不正をしづらい環境を作ることです。
例えば、
- VOID処理は責任者承認制にする
- オーダーキャンセルは複数人で確認する
- ジャーナルを日次で確認する
- 理由を必ず記録する
こうした仕組みがあるだけで、不正発生率は大きく下がります。
まとめ|不正を防ぐのは監視ではなく仕組み
不正は、
「悪い人がいるから起きる」
だけではありません。
確認不足や管理不足といった、
現場の構造が原因で起きることも少なくありません。
だからこそ経営者や管理者は、
誰かを疑うことよりも、
不正が起きにくい仕組みを作ることに力を注ぐべきです。
POSシステムのジャーナル管理は、
その第一歩です。
もしまだ確認の仕組みがないのであれば、
ぜひ一度、自店舗の運用を見直してみてください。
